2026年1月31日(土)、愛知県名古屋市のウィルあいち(愛知県女性総合センター)にて、一般社団法人日本自立準備ホーム協議会主催の広報啓発イベント「社会復帰支援のための繋がり ~自立準備ホームの役割~」を開催しました。
本イベントは、刑事司法を取り巻く制度や社会環境が変化する中、罪を犯した人の立ち直りを地域でどのように支えていくのか、そしてその受け皿としての自立準備ホームの役割と可能性について、多様な立場の関係者が共に考えることを目的として実施しました。
当日は、会場参加110名、WEB参加申込129名と、多くの皆さまにご関心・ご参加をいただき、社会復帰支援への関心の高さを改めて実感する機会となりました。
開会にあたり、当協議会代表理事・高坂朝人より開会挨拶を行い、中部地方更生保護委員会委員長の滝澤千都子様よりご祝辞を賜りました。
スペシャルトークでは、プロボクサーの力石政法さんと、聞き手として中日新聞記者の芳賀美幸さんを迎え、力石さんご自身の生い立ちから現在に至るまでの歩みが語られました。
非行の背景にある家庭環境や支援アクセスの欠如、少年院での経験、更生保護施設を経て社会に戻る過程など、立ち直りのプロセスが具体的に示されました。
力石さんは、支援制度を知らず孤立していた当時の状況から、少年院での信頼関係の構築を経てボクシングに覚悟を定め、出院後は更生保護施設で生活を整えたことが、再犯防止につながったと振り返りました。面会や面接の回数を重ねることで信頼関係が育まれ、関わりの頻度そのものが再非行の抑止力になるという実感も共有されました。

このスペシャルトークを通じて、支援アクセスの欠如が非行傾斜を招く一方で、少年院や更生保護施設での経験、継続的な関わり、就労機会、信頼できる人との関係が、自制の内在化と再犯防止に大きく寄与することが示されました。住居と就労を基盤とした長期的な伴走支援の重要性が、参加者全体で共有されました。
続いて行われた行政説明では、「刑事司法の動向と自立準備ホームに期待すること」をテーマに、
再犯防止推進法や、令和5年12月から始まった「地域援助」について説明が行われました。
保護観察終了後も相談できる仕組みを整えることで、支援の入口を広げる取り組みであることが紹介されました。
また、再犯防止においては住居と就労の確保が最重要課題であり、行政・民間・地域の連携が不可欠であることが強調されました。
後半のパネルディスカッションでは、「人生は続く ― 自立準備ホームで何を編み、何を託すのか」をテーマに、元自立準備ホーム利用者、事業者、保護観察所、児童相談所など、多様な立場から議論が行われました。
元利用者からは、社会復帰後の生活を支えた最大の要因は、定期的に連絡をくれ、気にかけてくれる信頼できる人の存在であったことが語られました。
自立準備ホームでの生活は、人生全体では短期間であっても、社会復帰前の「ワンクッション」として重要な意味を持つことが共有されました。
議論を通じて、自立とは「一人で何でもできること」ではなく、「人の力を借りながら生きていけること」であるという共通認識が示されました。
自立準備ホームは、住居の提供にとどまらず、相談する力や支援を受け取る力、いわゆる「受援力」を育む場であることが確認されました。
また、就労支援、医療連携、児童相談所との連携など、分野を越えた複合的な支援の必要性や、地域住民や企業などとの関わりが、社会参加を後押しすることも指摘されました。さらに、国の委託費だけに依存しない経営や、人材育成を含めた事業者の持続可能性についても意見が交わされました。

最後に、副代表理事・野田詠氏より閉会挨拶が行われました。
本イベントを通じて、自立準備ホームは「最後の砦」ではなく、地域で生きていくための「最初の一人」と出会う場所であることが改めて確認されました。
日本自立準備ホーム協議会では、今後も全国の事業者や関係機関、地域の皆さまと連携しながら、再犯防止と社会復帰支援の充実に取り
組んでまいります。
本イベントの開催にあたり、後援を賜りました法務省、愛知県をはじめ、関係団体の皆さまに心より御礼申し上げます。
また、本事業は「共生社会を創る 愛の基金」の助成を受けて実施しました。

