2024(令和6)年3月7日(木)午後1時30分から5時10分まで、関東地方更生保護委員会(埼玉県さいたま市)の会議室において、関東地方自立準備ホーム勉強会・研修会が開催されました。
会場参加者は18団体30名、Zoom参加者は9団体18名でした。オブザーバーとして法務省からは保護局の更生保護事業係長、関東更生委の更生保護管理官、東京矯正管区の成人矯正調整官、また、自立準備ホーム登録申請中の団体の方、日準協活動に資金面で支援いただいているスマホ契約会社の方、社会福祉士を目指す学生、毎日新聞記者および本事業に助成していだいている一般社団法人パチンコ・パチスロ社会貢献機構の専務理事など、13名が出席。講師、日準協の役員を含めると、合計66名が参加しました。
高坂代表理事の挨拶で始まり、稲葉常務理事から日準協の設立の経緯、意義について説明があった後、基調講演として東京社会福祉士会司法福祉委員会の小林良子委員長から「東京社会福祉士会司法福祉委員会の活動について」とのテーマでご講演をいただきました。精神障害、依存症等を抱え、過ちを犯した人たちの立ち直りにおける地域支援のためのネットワークづくりの大切さについてご講演されました。
10分間の休憩後、8つのグループに分かれ「各自立準備ホームでの課題」「日準協への期待」を中心に協議しました。
以下は、協議で出された主な意見です。
〇自立準備ホーム運営上の課題
- 自立準備ホームの委託について、東京と埼玉で対応の違いがある。
- 入居者が物を壊したときの対応について課題がある。保険なども必要ではないか。
- 自立準備ホームでの受け入れの際のアセスメントが重要である。
- 保護観察官と自立準備ホーム事業者の役割分担を明確にしたい。
- 委託期間が短い。6ヶ月間では難しい。
- 金銭管理、お金の使い方についての難しさがある。
- 自立準備ホーム事業者側が、今の委託費以上の支援をおこなっていて持ち出しが多い。・緊急で委託を受けることがあり、その場合に対象者の事前情報が少ない。
- 対象者が自立準備ホームに入居後に、思っていたところと違うと感じ、入居間もない段階で退去することがある。
- 依存症のある入居者が、依存していることをやめる気持ちがないときの対応に難しさがある。
- 自立準備ホームの鍵の管理方法やカメラの設置について悩んでいる。
- 入居間もないときはルールを厳しくして、その後にルールを緩やかにして社会生活に近づけていくとよい。
- 入居時に決めたときのルールを破ったときの対応に困っている。
- スタッフが対応できないことが起こったときの対応に課題がある。
- 地方では、働く場が少ないことがある。
〇日本自立準備ホーム協議会に求めること
- 事業者の持ち出しが多いため、委託費のアップ、単価設定の見直しを働きかけてほしい。
- 自立準備ホーム間の相互の連絡調整が円滑になるようにしてほしい。
- 受入れ前の環境調整や、支援についてのガイドラインがあれば助かる。
- 保護観察所から自立準備ホームを信頼してもらい、自立準備ホームを必要とする人の委託を円滑に受けられるよう動いてほしい。
- 全国の協力雇用主との連携の必要性を感じるので、対応をお願いしたい。
- 勉強会・研修会という堅苦しいネーミングではなく、フランクなネーミングがいいのではないか。
最後に、関東地方更生保護委員会の西平更生保護管理官から、更生保護施設と自立準備ホームの違いを踏まえながらも、双方の利点を活かした共存共栄の重要性についてコメントを賜り、終了しました。